2024年4月1日の児童福祉法改正により、「家庭支援事業」として6つの事業が位置付けられました。 今回は、「家庭支援事業」の6事業について、児童福祉法改正により新設された「子育て世帯訪問支援事業」「児童育成支援拠点事業」「親子関係形成支援事業」を中心に解説します♪
6つの「家庭支援事業」とは?(改正児童福祉法)
2024年4月1日の児童福祉法により、地域子ども・子育て支援事業が整理され、6つの事業が「家庭支援事業」として位置づけられました。
- 子育て短期支援事業
- 養育支援訪問事業
- 一時預かり事業
- 子育て世帯訪問支援事業(訪問による生活の支援)
- 児童育成支援拠点事業(学校や家以外の子どもの居場所支援)
- 親子関係形成支援事業(親子関係の構築に向けた支援)
上記のうち、「子育て短期支援事業」「一時預かり事業」については、拡充。 子育て世帯訪問支援事業(訪問による生活の支援)、児童育成支援拠点事業(学校や家以外の子どもの居場所支援)、親子関係形成支援事業(親子関係の構築に向けた支援)は新設の事業です。
出題傾向
これまでの保育士試験の傾向からすると、事業の名称と内容を結びつける問題、それぞれの事業の内容について問う問題の出題が考えられます。
①子育て短期支援事業
「子育て短期支援事業」は以前からある事業ですが、支援対象について「保護者」「利用希望児童」が新たに明記されました。
「親子入所」「入所希望児童」も対象に
ショートステイとトワイライトステイ
「子育て短期支援事業」には、ショートステイ・トワイライトステイがあります。
その他、詳しい内容はこちら!
②養育支援訪問事業
養育支援訪問事業の対象は、「要保護児童」「要支援児童」「特定妊婦」です。 詳しくはこちら!
③一時預かり事業
- 家庭において保育を受けることが一時的に困難となつた乳児又は幼児
- 子育てに係る保護者の負担を軽減するため、保育所等において一時的に預かることが望ましいと認められる乳児又は幼児
2024年4月1日の「子育てにかかる保護者の負担を軽減=レスパイト」目的での一時預かりが可能であることが明文化されました。 その他、詳しい内容はこちら!
④子育て世帯訪問支援事業(訪問による生活の支援)
新設された「子育て世帯訪問支援事業」について見ていきましょう。
事業目的は「児童虐待の防止」
「子育て世帯訪問支援事業」は、児童虐待の防止を目的とした事業です。
実施主体は「市町村」
「子育て世帯訪問支援事業」の実施主体は「市町村」です。(市町村が適切と認めた者に委託等を行うことも可能)
対象者は、要支援児童、要保護児童およびその保護者、特定妊婦、ヤングケアラー
「子育て世帯訪問支援事業」の対象者は次の通りです。
- 【要保護児童及びその保護者】保護者に監護させることが不適当であると認められる児童の保護者及びそれに該当するおそれのある保護者
- 【要支援児童及びその保護者】食事、生活習慣等について不適切な養育状態にある児童等、保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童の保護者及びそれに該当するおそれのある保護者
- 【特定妊婦】若年妊婦等、出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦及びそれに該当するおそれのある妊婦
- 【ヤングケアラーなど】その他、事業の目的に鑑みて、市町村が本事業による支援が必要と認める者(支援を要するヤングケアラー等を含む)
支援対象については、児童や保護者又は妊婦からの相談や、乳児家庭全戸訪問事業・養育支援訪問事業、児童相談所などの関係機関からの情報提供・相談等により把握されます。
支援の内容(訪問による生活の支援)
「子育て世帯訪問支援事業」では、対象の家庭に訪問し、次のような支援を行います。
- 家事支援(食事の準備、洗濯、掃除、買い物の代行やサポート、等)
- 育児・養育支援(育児のサポート、保育所等の送迎、宿題の見守り、外出時の補助、等)
- 子育て等に関する不安や悩みの傾聴、相談・助言 ※ 保護者に寄り添い、エンパワメントするための助言等。なお、保健師等の専門職による対応が必要な専門的な内容は除く。
- 地域の母子保健施策・子育て支援施策等に関する情報提供
- 支援対象者や児童の状況・養育環境の把握、市町村への報告
訪問者については、過去に児童虐待などの犯罪歴のない者であれば、保健師、保育士などの資格は問いませんが、研修があります。
⑤児童育成支援拠点事業(学校や家以外の子どもの居場所支援)
新設された「児童育成支援拠点事業」について見ていきましょう。
事業目的は「居場所づくりで児童虐待を防止」
「児童育成支援拠点事業」は、児童虐待の防止を目的とし、児童の居場所となる場を開設する事業です。
実施主体は「市町村」
「児童育成支援拠点事業」の実施主体は「市町村」です。(市町村が適切と認めた者に委託等を行うことも可能)
対象者は、養育環境等の課題を抱える学齢期の児童
「児童育成支援拠点事業」の対象者は次の通りです。
- 食事、衣服、生活環境等について、不適切な養育状態にある家庭の児童等、養育環境に関して課題のある主に学齢期以降の児童及びその保護者
- 家庭のみならず、不登校の児童や学校生活になじめない児童等、家庭以外にも居場所のない主に学齢期以降の児童及びその保護者
- その他、事業の目的に鑑みて、市町村が関係機関からの情報により支援を行うことが適切であると判断した主に学齢期以降の児童及びその保護者
支援対象については、児童や保護者からの相談や、養育支援訪問事業、児童相談所などの関係機関からの情報提供・相談等により把握されます。
※対象は、養育環境等の課題(虐待リスクが高い、不登校など)を抱える「学齢期」の児童とその保護者が主ですが、「学齢期」の児童の未就学のきょうだいの利用や、18歳以降の継続利用も可能です。
支援の内容(学校や家以外の子どもの居場所支援)
「児童育成支援拠点事業」では、養育環境に課題を抱える児童の「居場所」となる場を開設し、児童やその保護者に対して、次のような支援を行います。
- 安全・安心な居場所の提供
- 生活習慣の形成(片付けや手洗い、うがい等の健康管理の習慣づけ、日用品の使い方に関する助言等)
- 学習の支援(宿題の見守り、学校の授業や進学のためのサポート等)
- 食事の提供
- 課外活動の提供(調理実習、農業体験等)
- 学校、医療機関、地域団体等の関係機関との連携
- 保護者への情報提供、相談支援
- 送迎支援
職員配置
支援の実施にあたっては①管理者②支援員を置くこと、とされています。
また「1人以上は、児童指導員、保育士、社会福祉士、精神保健福祉士のいずれかの資格、教育職員免許法第4条に規定する免許状若しくは児童福祉事業に2年以上従事していた経験を有する者又は③心理療法担当職員に該当する者を必ず置くこと」とされています。
⑥親子関係形成支援事業(親子関係の構築に向けた支援)
新設された「親子関係形成支業事業」について見ていきましょう。
事業目的は「児童虐待の防止」
「親子関係形成支援事業」は、親子間における適切な関係性の構築を図ることにより、児童虐待の防止を目的としています。
実施主体は「市町村」
「親子関係形成支援事業」の実施主体は「市町村」です。(市町村が適切と認めた者に委託等を行うことも可能)
対象者は、要支援児童・要保護児童及びその保護者
「親子関係形成支援事業」の対象者は次の通りです。
- 【要保護児童とその保護者】保護者に監護させることが不適当であると認められる児童及びその保護者若しくはそれに該当するおそれのある児童及び保護者
- 【要支援児童とその保護者】保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童及び保護者若しくはそれに該当するおそれのある児童及び保護者
- 乳幼児健康診査や乳児家庭全戸訪問事業の実施、学校等関係機関からの情報提供、その他により市町村が当該支援を必要と認める児童及びその保護者
支援対象については、児童や保護者からの相談や、乳幼児健康診査や乳児家庭全戸訪問事業、学校・児童相談所などの関係機関からの情報提供・相談等により把握されます。
支援の内容(親子関係の構築に向けた支援)
「親子関係形成支援事業」では、児童との関わりや子育てに悩み・不安を抱えた保護者に対してペアレント・トレーニング等を実施するとともに、保護者同士が相互に悩みや不安を相談・共有し、情報の交換ができる場を設け、健全な親子関係の形成に向けた支援を行います。
- 講義、グループワーク、個別のロールプレイ等を内容としたペアレント・トレーニング等を実施
- 同じ悩みや不安を抱える保護者同士が相互に悩みや不安を相談・共有し、情報の交換ができる場を設ける
対象となる保護者の中には、精神疾患や発達障害を持っている保護者がいるケースがあることを考慮し、プログラムを組み立てます。
また、未就園の幼児のいる家庭を対象とする場合には、別室に手保育士等による預かり保育の実施に務めます。
家庭支援事業ミニテスト
主に新設された3つの家庭支援事業について「事業目的・内容」と「事業名」を結びつける問題です。
→うまく表示されない方はこちら(別ウィンドウで開く) それぞれの事業の目的・内容について問うミニテストです! →うまく表示されない方はこちら(別ウインドウで開く)
保育士試験対策+αテスト
さらに理解を深めたい方向け!「6つの家庭支援事業」についてのミニテストです。
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