
保育士試験・社会福祉で地味に出るのが、少子高齢化についての統計問題。
日本は、少子化・高齢化って言われているけど、実際の割合はどのくらいなの?
今回は、「高齢化率」「出生数」「合計特殊出生率」など、日本の現状や課題を理解するうえで、重要な統計資料の見方や数値について紹介します♪
少子高齢化の定義と現状
「少子高齢化」といいますが、実際は「少子化」と「高齢化」を分けて考える必要があります。
「少子化」と「高齢化」は別々の現象で、それが同時におこっているのが「少子高齢化」だからです。
高齢化の定義と現状
「高齢者」は何歳から?
まず、「高齢者」とは何歳からでしょうか?
「高齢者」は何歳から?
- 55歳以上
- 65歳以上
- 75歳以上
正解は2「65歳以上」です。
ということは、東京都の小池知事は73歳なので、高齢者ですね。
アメリカのトランプ大統領も79歳なので、高齢者です。
「75歳以上」は「後期高齢者」といいます。
今「高齢者の基準を引き上げる」と言われているので、この辺の定義はまた変わるかもですね。
「高齢化」は何%から?
さて、では「高齢者」がどのくらい多くなると「高齢化」と言われるのでしょうか。
「高齢化」は何%から?
- 7%以上
- 14%以上
- 21%以上
- 7%以上→14人に1人
- 14%以上→7人に1人
- 21%以上→5人に1人以上
正解は1「7%以上」です。
え?意外と少ない?
ちなみに「14%以上」になると「高齢社会」というようになります。
「21%以上」になると「超高齢社会」です。
人口の「5人に1人が高齢者」とか・・・想像できますか?!
日本の高齢化社会の実態
日本の高齢化率(令和5年度)はどのくらいと思いますか?
日本の高齢化率は?
- 7~13%(高齢化社会)
- 14~20%(高齢社会)
- 21%以上(超高齢社会)
ヒントです。
☆平成7年度(20年前)の高齢化率。

高齢化率14.6%!→高齢社会ですね。
では、その30年後「令和7年度」の高齢化率はどのぐらいと思いますか?
☆では、令和7年度のグラフを見てみましょう。

(人口推計令和7年9月より作成)
「75歳以上」と「65~74歳」を合わせると、何と29.1%です。
そう、つまり今は「超高齢社会」!
すでに4人に1人以上が高齢者なんです!
これからの日本は・・・
そして、これからの社会の高齢化はどのように進んでいくのでしょうか。
下のグラフを見ながら、次のことを考えてみてください。
- 総人口は? → 増加・減少
- 高齢者(特に後期高齢者)は? → 増加・減少
- 生産年齢人口(15~64歳)は? → 増加・減少
- 子ども(0~14歳)は? → 増加・減少

(令和6年版 高齢社会白書より作成)
- 総人口は減少
- 高齢者(特に後期高齢者)が増加
- 生産年齢人口(15~64歳)が減少
- 子ども(0~14歳)が減少
今、私たちが「保育」をしている子どもたち(0~5歳)は、20年後には「生産年齢人口(15~64歳)」に入り、「貴重な労働力」となる存在。
つまり、子どもの育ちに関わる「保育」と言う仕事は、日本の未来の基礎を作っていく仕事なのですね!
ちょこっとまとめと過去問
ちょこっとまとめ
☆高齢者の定義
65歳以上
☆高齢化の定義
- 7%以上・・・高齢化社会
- 14%以上・・・高齢社会
- 21%以上・・・超高齢社会
☆今の日本は・・・
高齢化率29.1%(令和5年度)→超高齢社会
高齢化は急速に進んでいます。
過去問
次の文は、「日本の将来推計人口(平成 29 年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)および「平成 29(2017)年人口動態統計(確定数)」(厚生労働省)に基づく、日本の人口動態に関する記述である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
日本の総人口は 2010(平成 22)年が増加のピークで、その後は減少している。この状況には( A 老年人口の増加)だけでなく、( B 出生数の減少)が影響を与えている。これまで様々な対策が講じられてきたが、( C 合計特殊出生率)は 2016(平成 28)年には 1.44 と低く、人口減少の状況は続いている。
(組み合わせ)
A B C
1 老年人口の増加 年少人口の増加 合計特殊出生率
2 老年人口の増加 年少人口の増加 高齢化率
3 老年人口の増加 出生数の減少 合計特殊出生率
4 生産年齢人口の増加 出生数の減少 合計特殊出生率
5 生産年齢人口の増加 年少人口の増加 高齢化率
2016年に「1.44と低く・・・」と言われていたのが、2024年は「1.15」ですからね(;’∀’)
「1.0」を割り込む日も遠くはなさそうですね。
少子化の定義と現状
高齢化の定義に比べ、少子化の定義は、あいまいと言われています。
少子化の定義
☆少子化の定義
- 子どもが減ること
- 親世代より、子どもの数の方が少ないこと
- 合計特殊出生率が人口置換水準を下回る状態が続くこと
高齢化率のように、人口に対して何%というんじゃないんですね。
わかりやすいのが、一番下の「合計特殊出生率が人口置換水準を下回る状態が続くこと」でしょうか。
人口置換水準というのは、1人の女性が一生の間にこのくらいの人数の子どもを産めば、人口が増えもせず減りもせず大体同じくらいの人口を保つことができる水準です。
その数は、「2.1」といわれています。

夫婦2人に対して子ども2.1人。「0.1人」は自然減(途中で亡くなってしまう子)を計算に入れているということです。
今の日本の現状は・・・
最近の合計特殊出生率(15~49歳の女性が一生の間に産む子供の数)は・・・

(令和7年度版厚生労働白書より作成)
- 2023年:1.20 ←R8前期試験
- 2024年:1.15 ←R8後期・R9前期試験
おーまいがー!!ですね( ゚Д゚)
※R8前期試験受験の方は「2023年」の数値を、R8後期・R9前期試験受験の方は「2024年」の数値を覚えておきましょう。
2015年には1.45まで回復していた「合計特殊出生率」ですが、その後減少に転じ、2022年、2023年、2024年と、過去制定を更新し続けています( ;∀;)
また、ここ50年は人口置換水準(2.1)を割り込んでいます。
都道府県別の出生数
実は、「出生数」は、都道府県によって違います。
あなたの住んでいる都道府県はどうですか?
確認してみましょう♪
※R8前期試験受験の方は「2023年」の数値、R8後期・R9前期試験受験の方は「2024年」の数値を見てください。


(R6人口動態統計より)
どの都道府県も減っていますね( ゚Д゚)
ちなみに一番少ないのは東京都で、なんと人口置換水準の半分以下!
一番多いのは沖縄県ですが、それでも人口置換水準には届かない数値です。
少子高齢化の課題
少子高齢化に伴って、どんな問題が起こるのでしょうか。
医療費の増加
高齢者が増えるということは、医療費が増えます。
年をとると、からだのあちこちが痛いとか、がんが見つかる、認知症などで、どうしても病院にかかることが多くなります。
●医療費の自己負担額
| 小学校就学前 | 2割 | |
| 小学生~70歳 | 3割 | |
| 70歳~ | 2割 | 現役並みの所得が ある場合は3割 |
| 75才~ | 1割 | |
医療費の自己負担額については、見直す考えも出ていますが、現状75歳以上の後期高齢者の自己負担額は1割負担です。そうすると、残りの9割は「社会保障費から」ということになるんですね。
2023年度の医療費の年齢別内訳を見てみると

(令和5(2023)年度 国民医療費の概況・厚生労働省 より作成)
すでに、医療費の約6割(20.3%+39.8%)が65歳以上の高齢者に使われています。
また、45~64歳に使われている医療費(22%)を合わせると、医療費の8割以上が45歳以上の人に使われているという現状です。
2025年度では、後期高齢者は総人口の17%ですが、10年後の2035年度には19%になると考えられています。これから先、どうなっちゃうんでしょうね・・・。
年金の増加
高齢者の生活費の7割は、年金収入といわれています。
高齢者が増えるということは、それだけ年金として拠出される金額が増えるということです。
日本の年金は、「年金保険料を運用して増やして将来の年金にする」という方法ではなく、「今働いている人の年金保険料から、昔働いていた人に年金を払う」という方法が採られています。まさに、自転車操業(・_・;)車輪がうまく回っているうちはいいのですが、少しでもバランスを崩したら、バッターン!ですね。

2045年とか、高齢者と生産年齢人口がほぼ1:1なので、ホントどうするんだろう?って感じですね。
今働いている人は、所得約18%を年金保険料として納めていますが、将来的には30%や40%にまで引き上げないと、年金制度は維持できないのだそうです。
総年金受給額を減らすためには、年金受給時期を遅らせる、年金給付額を低くするといった方法が採られています。
・・・ということは、今現役で働いている人は、支払う保険料ばかりどんどん増えて、将来貰える返金はどんどん減らされるかも。今の子どもたち、これから生まれる子どもたちは、もっと負担して、それなのにもっともらえない。
こんな社会で子どもを産んで育てようと思う人が減ってしまうのも、無理がない話だな・・・。むしろ、子どもを産んで、未来の納税者を育てながら、保育園に預けて、自身もバリバリ働いて納税してくれる、そんなママさんたちが日本の希望だと、思うのです。
福祉(介護)にかかるお金
高齢者が増えますから、もちろん福祉(介護)の充実も求められます。
厄介なのは、その高齢者たちには選挙権(30年後には有権者の半分が高齢者!)があり、保育園に通っている子どもたちには選挙権がないということ。
どうしても政策は、選挙権のある人の方を向きがちなので、福祉の重点がどちらにおかれるかといえば、数の論理で高齢者福祉(介護)になってしまいますね。
グラフで見る社会保障
「少子高齢化社会」の進行により、「社会保障」について、どのような課題があるのでしょうか。
莫大な統計資料の中から、「保育士試験・社会福祉」で出題の多い部分をピックアップし、見やすくグラフにまとめました。
社会保障給付費(医療・年金・福祉)は増えている?減っている?
「少子高齢化」に伴い「社会保障給付費(医療・年金・福祉)は、どのように推移しているのでしょうか。
(令和5年度社会福祉費用統計8表 より)
これからどんどん加速する「高齢化」により、「年金」の支出はさらに増えていくことが予想されます。
R3後 社会福祉 問7
- 社会保障給付費の総額は 10 年前と比較して増加している。 →〇
- 社会保障給付費を「医療」「年金」「福祉その他」の3つの部門に分けた場合、全体に占める割合が一番多いのは「医療」である。 →×
社会保障財源の内訳
10年前と比べると増加傾向にある「社会保障費」ですが、その「財源」は、何なのでしょうか。

R3後 社会福祉 問7
- 社会保障財源を「社会保険料」「公費負担」「他の収入」の3つの項目に分けた場合、「社会保険料」が全体の8割以上を占める。 →×
ちょこっとまとめ
ちょこっとまとめ
- 2025年の高齢化率は「29.3%」
- 2023年の合計特殊出生率は「1.20」。2024年は「1.15」
- 年金も医療も福祉も増加
- 社会保障費のほぼ半分が「年金」
- 財源はほぼ半分が社会保険料から


コメント
更新されて嬉しいです!!! 社会福祉がとっつきにくくて苦手なので、助かります!
nanaさん、コメントありがとうございます☆
私も社会福祉苦手だったので、ノロノロですが、なるべくわかりやすく覚えやすいように、解説していきたいと思います(๑•̀ㅂ•́)و✧
勉強頑張ってくださいね!