保育士試験・社会福祉の勉強で私が行き詰ったのは「○○アプローチ」って言葉。 過去問では
- 機能的アプローチ(R2後、H26再)
- 行動変容アプローチ(H26本)
- 課題中心アプローチ(H26本)
- ナラティブアプローチ(H26本)
- 解決志向アプローチ(R2後、H26本)
- 問題解決アプローチ(H26再、H25本)
- 危機介入アプローチ(H25本)
- エンパワメントアプローチ(R2後、H25本)
- 心理社会的アプローチ(R2後、H26再、H25本)
とたくさんの「○○アプローチ」が出題されています。 これらの「○○アプローチ」の見分け方のポイントを今回は学習していきます。 実生活でも使える手法なので、身近な出来事に置き換えて考えてみると、「使える技術」にしやすいのでお勧めです。
「アプローチ」とは?
相談援助は、援助者が、クライエントと共に目標を決め、計画を立て、社会資源を利用しながら、目標に近づいていく活動です。 このとき、「どんな風に目標に近づいていくか」にも、色々な方法があり、その中でも主要なものには「○○アプローチ」って名前が付いています。
ただ、日常的に使っているのは、感情的になってしまったり、相手の話を誘導してしまったりとバイスティックの7原則を守れていないことが多いので、「相談援助」とは言えないですが・・・。
例:どうしたら、子どもが宿題をやるか
身近な例で考えてみましょう。
頭ごなしに怒る。 よくある光景ではありますが、これの効果が低いというのもよくあることで、相談援助的に子どもに働き掛けるなら
1.できなかった理由を考えさせる
原因、理由を聞き、「どうしたら解決するか?」を考えます。
2.できた時をイメージさせる
コーチングなどで使われる手法ですね。 できた姿がイメージできたら、「そのために、今できることは?」を問います。
3.目標を立てさせる
すぐに実行に移せる目標を立てさせます。
4.きっかけとなる行動を変える
「ゲームをする」という行動を引き起こす行動を変え、新しい行動を覚えさせるようにします。
それぞれ、どんなアプローチにあたるの?
上記のように考えると、それぞれ違うアプローチだとわかると思います。 では、実際どのような理論に基づいたアプローチなのか見ていきましょう。
問題解決アプローチ
「心理社会的アプローチ(診断主義派)」と「機能的アプローチ(機能主義派)」の折衷理論です。 問題解決の主体は、クライエントにあると考えます。 クライエントにとって、「何が困難か」に焦点を当てています。
デューイの問題解決論の影響を受けています。
心理・社会的アプローチ
精神分析、自我心理学などを用いた診断主義ケースワークに基づくアプローチです。 「クライエントの心理的側面」と「クライエントを取り巻く社会的側面」が相互に影響し合った複合状況としてクライエントを理解しようとする方法。人間の行動や成長に注目します。 →「状況の中の人」(人、状況、その作用)
フロイトの影響を受けています。
機能的アプローチ
クライエントの社会的機能を高めるアプローチです。 「人の問題は自由意志と成長の力が、環境要因により損なわれているために生じる」と考え、その要因を除去し、本来人が持っている力(機能)を発揮できるように支援します。
課題中心アプローチ
短期的アプローチの一つです。2~4か月で取り組みます。 クライエントが抱える課題を、クライエントが解決しなければならない問題として取り上げ、クライエント援助者が協力して解決する方法です。
解決志向アプローチ
短期的アプローチの一つです。 問題やその原因に焦点を当てるよりも、解決の方法(どうやったらできるのだろう?)や利用できる資源・能力(そのために何が必要なんだろう?)に焦点を当てます。
保育士試験の勉強に行き詰った時に、今まで成果を出した勉強の仕方をイメージして、今できることは?と考え行動する、という感じでしょうか。
行動変容アプローチ
条件反応の消去、強化による特定の問題行動の変容を働きかけます。 スキナーのオペラント条件付けの理論に基づいています。
「行動を変える必要がある」とどの程度感じているかによって、支援の仕方が変わってきます。
- 無関心期・・・半年先も特に行動を変えようと思っていない
- 関心期・・・半年後までには何とかしたいなぁ・・・。
- 準備期・・・1か月以内に行動を起こしたいなぁ
- 実行期・・・行動を変えようと、頑張りはじめたところ
- 維持期・・・行動を変えてから、半年以上頑張ってるよ!
無関心期や関心期の人は、なかなか行動を変えるよう働きかけるのが大変です。 準備期の人は、「実行したい」と考えているので、目標を決め、行動計画を立て、実行に移すのに適した時期です。 実行期の人には、新しい行動が持続するようなコーチングをします。 維持期に入れば、継続的な援助者のかかわりがなくても大丈夫なので、援助の完了とします。
危機介入アプローチ
暴力や育児放棄、家庭崩壊など危機的な状況にあり、情緒的に混乱しているクライエントに対して、積極的に介入していきます。危機介入アプローチの目的は、危機的状況の回避です。
ナラティブアプローチ
クライエントが語る物語を通じて援助を行うアプローチです。 narrative→ナレーション(物語の語り)と関連させて覚えるといいですよ☆ 援助者は、クライエントと対等の関係で話を聞きます。
エンパワメントアプローチ
「全ての人が困難な状況においても、潜在的な能力と可能性を持っている」と考え、クライエントが持つ弱さにではなく、(弱さは認めつつも)クライエントが持っている力や可能性(パワー)に着目します。
「○○アプローチ」の過去問
平成25年度本試験 社会福祉 問14 次の用語の解説は、援助技術のアプローチに関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を姶とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。(選択肢省略) 正答:A○ B○ C× D○
- 問題解決アプローチ ・・相談援助の過程で、援助者が利用者自身のワーカビリティを含めた診断を行いつつ、利用者自身の機能する力を支持、補足、強化するアプローチである。
- 危機介入アプローチ ・・利用者の心理的危機への介入により、社会的機能の回復、あるいは、心理的危機の回避を行うことを目的とするアプローチである。
- エンパワメントアプローチ ・・利用者の語る物語を通して援助を行うアプローチであり、利用者が新たな意味の世界を創り出すことにより、問題解決へと導くアプローチである。
- 心理社会的アプローチ ・・「状況の中にある人間」という概念を中心として、ケースワークの治療モデル(あるいは医学モデル)に、精神分析を重視した理論を加えたアプローチである。
Cは、「物語」とあるので、「ナラティブアプローチ」です。
平成26年度本試験 社会福祉 問15 次の文は、ソーシャルワークのアプローチに関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。(選択肢省略) A○ B○ C× D×
- 行動変容アプローチは、学習理論に基づいており、条件反応の消去・強化による特定の問題行動の変容を働きかける。
- 課題中心アプローチは、短期間での問題解決を目的としており、標的とする問題を確定し、課題の抽出、目標設定を行い、短期の計画的援助を行う。
- ナラティブアプローチは、心理臨床の短期療法の影響を受け、短期に目的達成をめざす短期アプローチである。
- 解決志向アプローチは、社会的に抑圧されている利用者の潜在能力に気づき対処することや原因となっている環境を変革することで問題解決をはかる。
C.解決志向アプローチについての記述です。 D.エンパワメントアプローチについての記述です。
ミニテスト
「アプローチ」の理解度チェック☆
→うまく表示されない方はこちら!
相談援助の専門用語○○アプローチまとめ
この投稿をInstagramで見る
+αクイズ
試験を意識した問題&まぎらわしい「○○アプローチ」の詳細を聞く問題など23問☆
やればやるほど理解が深まり、得点力がアップしますよ!
頑張って(*^▽^*)
コメント
こんにちは、初めまして。
茨城の常磐大学に通っている3年の眞田麻衣と申します。
本日は、ソーシャルワーカーと問題解決アプローチについて大学で発表がありまして、ぜひうぱみさんの資料を使用したくご連絡いたしました。
なにとぞ、よろしくお願いします。
眞田 麻衣さん、コメントありがとうございます!
大丈夫ですよ(●^o^●)
保育士試験学習者の方向けに、簡略化してあるので、専門の勉強をしている方のお役にたてるかわかりませんが・・・。
はじめまして。
いつも勉強させていただいております。ありがとうございます。
問題内容とは全く別の質問で失礼します(>_<)
最近、ドラッグ&ドロップ式の問題を解こうとすると、ページ自体も動いて答えをはめられないのですが、これは私の携帯の不具合でしょうか…?最近までこのようなことはなかったのに…。
しのさん、コメントありがとうございます✾
私のスマホでも同じことが起こります(´-﹏-`;)
パソコンだと大丈夫みたいですが・・・
スマホ用に、穴埋め式じゃないクイズを作ろうかと思っているのですが、現在パソコンが使えない状況なので、もう少し時間がかかってしまいそうです。申し訳ないです。
しのさん、こんにちは。
→うまく表示されない方はこちら
のリンク先に同様のミニテストを用意してみました。それでもやはり画面が少し動いてしまうので、完全に直ったとは言えませんが・・・。
他のページも順次直していきますので、ぜひご利用ください。
はじめまして、いつも愛読しております。
解決志向アプローチについてのミニテストについて、「問題を解決してどのような状態になりたいか?」を解決志向アプローチの答えとしていますが、一方で、数値に置き換えて質問する『スケーリング』が解決志向アプローチの答えで、問題が解決したあとの気持ちなどについて想像を促す『ミラクルクエスチョン』は不正解のようなのですが、違いがよく分かりません…。ご教示頂きたく、宜しくお願い申し上げます(_ _)
まつのさん、コメントありがとうございます(●^o^●)
今回のミニテスト、「解決志向アプローチ」についての問題は、次の2問です。
□□アプローチは、「問題を解決してどのような状態になりたいか」というクライエントが持つ望ましいイメージや可能性に焦点を当てた、短期アプローチである。
正答:解決 志向
解決志向アプローチで用いられる質問法の一つ「スケーリングクエスチョン」とは?
○今の状況などについて、数値に置き換えて質問する。
×これまでに、上手く問題を切り抜けた体験について質問する。(←コーピングクエスチョン)
×問題が解決した後の気持ちなどについて、想像を促す質問をする。(←ミラクルクエスチョン)
「解決志向アプローチ」と一言で言っても「スケーリングクエスチョン」「コーピングクエスチョン」「ミラクルクエスチョン」といくつかの方法があり、今回は「スケーリングクエスチョン」についての質問でした。
なるほどですね!見逃していました…。ありがとうございます
こんにちは。
前期のテストではこちらに大変お世話になり、8教科合格に至りました。わかりやすい解説で本当に感謝しています。
すみません、質問ですが、機能的とエンパワメントの違いがよくわかりません。申し訳ありませんが、解説おねがいできますか?
よろしくお願いいたします。
まっきーさん、コメントありがとうございます(^o^)
機能的アプローチとエンパワメントアプローチ、とっても似てますね!あまり、この違いを問われる問題はないとは思いますが、エンパワメントは、「もともと抑圧されていた力」に働きかける、というものらしいです。