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「妊産婦のための食生活指針」など妊娠中・授乳中の女性の栄養

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保育士試験では、乳幼児の栄養に関する事柄だけでなく、妊娠中の女性や授乳中の女性の栄養についても、毎年1問程度出題されています。

野菜

妊産婦のための食生活指針

下記は、「妊産婦のための食生活指針(食生活の10のポイント)」から、ポイントを抜粋&加筆しています。

妊娠前から始める妊産婦のための食生活指針

ー妊娠前から、健康なからだづくりをー

  1. 妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう
  2. 「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと
  3. 不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと
  4. 主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に
  5. 乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に
  6. 妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
  7. 母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
  8. 無理なくからだを動かしましょう
  9. たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
  10. お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから

それぞれを詳しく見ていきましょう♪

妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう

妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう

現在、1日に2回以上主食・主菜・副菜の3つをそろえて食べることがほぼ毎日である女性の割合は、20代では約3割!

妊娠適齢期である「若い世代」では、バランスのとれた食事がとりにくくなっている状況がみられます。

そのため、妊娠から栄養のバランスに配慮した食生活を意識し、実践することが望まれています。

「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと

「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと

妊娠期には、母体のエネルギー消費に加えて、胎児の発育のためのエネルギーを確保する必要があるので、

  • 妊娠初期(16週未満)・・・+50kcal
  • 妊娠中期(16~28週未満)・・・+250kcal
  • 妊娠後期(28週以降)・・・+450kcal

が付加量として示されています。

また、授乳期には、母乳の算出のためのエネルギーが必要なため

  • 授乳期・・・+350kcal

が示されています。

エネルギーを取る際には、脂肪エネルギーの割合が高くならないように、脂質が少なく、たんぱく質の多いご飯からの摂取が望ましいとされています。

不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと

不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと

葉酸は妊娠前から!

☆神経管閉鎖障害の発症リスク低減のために葉酸摂取を☆

  • 葉酸は、ビタミンB群に属する水溶性ビタミン
  • 造血に作用し、不足すると貧血が生じることがある
  • 非妊娠時の推奨量240μg+妊娠期(中期・後期)付加量240μg
  • 妊娠1か月以上前~3か月までの間、葉酸をはじめとしたビタミンなどを多く含んだバランスのいい食事をすることにより、二分脊椎などの神経管閉鎖障害の発症リスクを低減
  • 妊娠初期(妊娠前)から、食品に加えて、栄養補助食品から1日400μg(0.4g)の葉酸を摂取することで発症リスクを低減
  • 1日当たりの摂取量は1mgを超えないように

鉄も重要!

妊娠後期になると、血液量は妊娠前に1.5倍になります。出産により、大量の血液を失う他、母乳は血液から造られるので、妊娠中~授乳期にかけて鉄欠乏性貧血になりやすくなります。

  • 植物性食品からも鉄分を摂取することはできますが、非ヘム鉄は吸収率が高くないため、動物性食品からヘム鉄を摂取する方が効率的です。
  • 植物性食品(大豆、ひじき、ほうれん草など)から非ヘム鉄を摂取する場合、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取すると効果的です。
  • 動物性食品から鉄分を摂取する際には、ビタミンAの取り過ぎに注意が必要です。

ビタミンAは注意!

ビタミンAは細胞分裂に必要な栄養素で、妊娠中は非妊娠時より多めにおることが推奨されていますが、過剰摂取によって胎児に奇形が現れるリスクがあります。

ビタミンAは、カボチャやニンジンなどの植物からβカロテンとして取ることがおすすめです。(βカロテンとして取った場合、必要な量だけがビタミンAに転換されます。)

肝やレバーなどに含まれるレチノールから取る方法もあるのですが、少量の肝やレバーでも多量のビタミンAを含んでいることがあるので、注意が必要です。

また、マルチビタミンなどのサプリメントでもビタミンAの取り過ぎになることがあります。

特に、神経が盛んに作られる妊娠3ヶ月までは過剰摂取に注意が必要です。

「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に

「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に

主菜は、魚や肉、卵、大豆製品などを使った、食事の中心となるおかずの料理で、たんぱく質や脂質を多く含みます。

「主食」(穀類)からも、全体の2割ほどのたんぱく質を摂取しています。

乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に

乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に

妊娠期には、カルシウムの吸収率が上昇するため、カルシウムの負荷量は特に設定されていません。

しかしながら、妊娠前から十分なカルシウム摂取を心がけることは大切です。

牛乳・乳製品からは良質のたんぱく質を摂取することができるので、『妊産婦のための食事バランスガイド』では、妊娠末期・授乳期は牛乳・乳製品が1つ付加されています。

妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に

妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に

「妊娠初期」ではなく、「妊娠前(非妊娠時)」の体型によって異なります。
一般に妊娠前のBMIが

  • 18.5未満(やせ)・・・+12~15kg
  • 18.5~25.0(普通)・・・+10~13kg
  • 25.0~30.0(肥満1度)・・・+7~10kg
  • 30.0以上(肥満2度以上)・・・個別対応(上限5kg)

BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算します。

  • 妊娠前の体格が「低体重(やせ)」「ふつう」であった女性で、妊娠中の体重増加が7kg未満だった場合、低出生体重児を出産するリスクが高い。
  • 低出生体重児は、成人後に糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発生しやすい。
  • 国民健康栄養調査では、20代・30代の女性で「低体重(やせ)」の割合が増加傾向にある。
    若い女性の体格の現状
  • 人口動態統計の結果では、低出生体重児の割合は増加傾向にある。
    低出生体重児の出生数の変化

20代女性は、男性や他の年代の女性に比べて、「低体重(やせ)」の割合が高いです。
体格の状況(女性)
体格の状況(男性)
平成25年度国民健康栄養調査結果より)
そのためか、妊娠中、太るのが嫌!お腹が出るのが嫌!で体重増加を抑えてしまう女性が多く、低出生体重児の出生割合も、他の先進国に比べて高くなっています。

母乳育児もバランスの良い食生活のなかで

母乳育児もバランスの良い食生活のなかで

授乳中には、エネルギーおよびたんぱく質、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、モリブデンで妊娠前よりも多く摂取することが推奨されています。

海藻については、摂りすぎると母乳中のヨウ素濃度が極端に高くなり、乳児の甲状腺機能に影響を与える可能性があります。しかし、海藻の摂りすぎを意図的に避け続けると、ヨウ素不足につながります。

特定の食品ばかりを接種するのではなく、バランスよく、色々な食品を摂るのが大切です!

無理なくからだを動かしましょう

無理なくからだを動かしましょう
妊娠中の身体活動・運動については、妊娠期における身体活動は早産及び低出生体重児のリスクを増加させない可能性が明らかになってきました。
しかし、「どのような運動をどれだけ行ったら良いのか?」については、日本では、未だ明確な根拠はありません。
マタニティビクスやヨガなど、妊娠中の運動プログラムがありますが、効果は科学的には分かっていないようです。
しかしながら、「運動不足」にならないように気をつけたいところです!

たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう

たばことお酒の( ① )から赤ちゃんを守りましょう

煙草の煙に含まれる有害物質は、血管を収縮させ、子宮胎盤循環血液量を低下させ、胎児が低酸素状態になります。

妊婦が喫煙者だった場合、一般の妊婦と比べ

  • 出生体重は平均200g少ない
  • 低出生体重児が生まれる頻度が約2倍
  • 自然流産の発生率約2倍
  • 早産率約1.5倍
  • 周産期死亡率約1.4倍

百害あって一利無しです。赤ちゃんが危険な状態になることはもちろんですが、母体も危険になります。

母親の血中のニコチン濃度は、父親など生活をともにする家族の喫煙による受動喫煙によっても増加します。母乳のニコチン量が多くなるほか、父母の喫煙による乳幼児の受動喫煙も問題になります。

  • 小児呼吸器疾患の頻度約3倍
  • 乳児突然死症候群約5倍

妊娠期にアルコールを常用すると、知能障害、発達障害を伴う胎児性アルコール症候群の子どもが生まれる可能性があります(1~2万人に1人程度)。

  • 妊娠初期の飲酒は、奇形
  • 妊娠末期の飲酒は、発達遅延や中枢神経系の機能不全

と関連があるとされています。
また、アルコールにたばこが加わると、脳の形成異常が起こることが動物実験で確認されています。

授乳期の飲酒は、母乳分泌の減少により、乳児の成長が抑制されたという報告があります。

 

お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから

お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから

妊娠期・授乳期は、妊娠・出産・育児の開始と、からだの急激な変化に加え、毎日の生活リズムや社会的環境も短期間で劇的に変化します。

そのため、身体的にも精神的にも不安定になりがちです。

周囲のサポートも大切ですね!

過去問

○×組み合わせ問題・穴埋め問題の両方で出題されています。

R5後期 子どもの食と栄養 問 11

次の文は、「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」(令和3年 厚生労働省)の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • 乳製品、緑黄色野菜、豆類、(小魚)などでカルシウムを十分に
  • 妊娠中の(体重増加)は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
  • たばことお酒の害)から赤ちゃんを守りましょう

R5前期 子どもの食と栄養 問 12

次のうち、「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」(令和3年 厚生労働省)の一部として、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. 無理なくからだを動かしましょう →
  2. 乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで鉄を十分に →×
  3. お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから →
  4. 妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう →
  5. 「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に →

妊産婦のための食生活指針ミニテスト

理解を深めるための、穴埋めミニテストです。
簡単な問題もあり、油断しているとうっかり間違える問題もあり・・・

うまく表示されない方はこちら(別ウインドウで開く)

☆保育士試験受験体験談☆

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