平成28年改正、平成29年4月1日施行の児童福祉法と児童虐待の防止に関する法律(児童虐待防止法)。
改正ポイント多いですが、大きく分けると
- 児童福祉法の理念の明確化
- 児童虐待の発生予防、早期発見、対応
- 被措置児童への自立支援
に分けられます。
今回は条文がそのまま丸々試験に出やすい「1.児童福祉法の理念の明確化」について、学習します。
児童福祉法の理念の明確化
児童の福祉を保障するための原理が明確化されました。
第1条 すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
② すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。
第2条 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
第1条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。
第2条 全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
○2 児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。
○3 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
改正後、すごく文章の量が増えていますね。まず、「児童の権利」の明確化。そして、児童の「最善の利益」を守るための国民、保護者、国・地方公共団体の責務と続きます。ミニテストで、この条文はしっかり暗記してくださいね。
ミニテスト
家庭と同様の環境における養育の推進
子どもがすくすく育つために、保護者をしっかり支援しよう!保護者が自分の子どもを育てることができない状態であったら、そのことが子どもにとっての不利益にならないように、家庭と似た環境の中で子どもが育つことができるように支援しよう!といった内容です。
国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。
ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。
ここで出てくる言葉についてですが、
- 「家庭」
→実父母や親族等を養育者とする環境 - 「家庭における養育環境と同様の養育環境」
→養子縁組による家庭、里親家庭、ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業) - 「良好な家庭的環境」
→施設のうち小規模で家庭に近い環境(小規模グループケアやグルー プホーム等)
を指します。
市町村・都道府県・国の役割と責務の明確化
国・都道府県・市町村それぞれの役割・責務を明確化にしました。
市町村の役割と責務
市町村は、私たちにとっていちばん身近な窓口☆
市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、児童が心身ともに健やかに育成されるよう、基礎的な地方公共団体として、第10条第1項各号に掲げる業務の実施、障害児通所給付費の支給、第24条第1項の規定による保育の実施その他この法律に基づく児童の身近な場所における児童の福祉に関する支援に係る業務を適切に行わなければならない。
市町村は、施設入所等の措置を採るに至らなかった児童を放置するのではなく、在宅支援を中心となって行うなど、身近な場所で児童や保護者を継続的に支援し、児童虐待の発生予防等を図ります。
都道府県の役割と責務
都道府県は、市町村を助ける!費用を出す!など。
都道府県は、市町村の行うこの法律に基づく児童の福祉に関する業務が適正かつ円滑に行われるよう、市町村に対する必要な助言及び適切な援助を行うとともに、児童が心身ともに健やかに育成されるよう、専門的な知識及び技術並びに各市町村の区域を超えた広域的な対応が必要な業務として、第10条第1項各号に掲げる業務の実施、小児慢性特定疾病医療費の支給、障害児入所給付費の支給、第27条第1項第3号の規定による委託又は入所の措置その他この法律に基づく児童の福祉に関する業務を適切に行わなければならない。
※第10条第1項各号とは
- 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。
- 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な情報の提供を行うこと。
- 児童及び妊産婦の福祉に関し、家庭その他からの相談に応ずること並びに必要な調査及び指導を行うこと並びにこれらに付随する業務を行うこと。
- 前三号に掲げるもののほか、児童及び妊産婦の福祉に関し、家庭その他につき、必要な支援を行うこと。
といった子どもや妊産婦に対する福祉です。
都道府県は、一時保護や施設入所といった行政処分としての措置等も行います。
国の役割と責務
国は、市町村と都道府県を助ける!
国は、市町村及び都道府県の行うこの法律に基づく児童の福祉に関する業務が適正かつ円滑に行われるよう、児童が適切に養育される体制の確保に関する施策、市町村及び都道府県に対する助言及び情報の提供その他の必要な各般の措置を講じなければならない。
国は、市町村及び都道府県における体制等について、あるべき水準を明確にし、これを達成するための方策を具体化するなどにより、児童の福祉に関する支援の質の均てん化を図ります。
しつけを名目とした児童虐待の禁止
※「児童虐待防止法」
以前は、「児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、その適切な行使に配慮しなければならない。」とありましたが、改正により、文言が強くなりました。
児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、民法第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲を超えて当該児童を懲戒してはならず、当該児童の親権の適切な行使に配慮しなければならない。
「しつけ」と言って、殴る、蹴る、食事を与えない、家に置き去りにするなど、「監護及び教育に必要な範囲を超えた懲戒」は「虐待」です。
「懲戒」という言葉は「体罰の禁止」に関する条文の中にも出てきましたね。
コメント
すみません、こちらは改定後の解説ですが、30年四月(次回)のテストでも出題される箇所でしょうか?
勉強不足でたいへん失礼な質問でごめんなさい。
なつきさん、コメントありがとうございます♡
改正児童福祉法は、30年前期試験の範囲です!混乱させてしまってすみません。
うぱみさん
こんばんは。試験まであと1ヶ月を切ってしまい焦りまくってます。
人名とかはそこそこ入ったのですが、どうしても引っかかる、
ここ数日 ドツボにはまり出したのが、「国(厚生労働省)」なのか、
「都道府県」なのか、「市町村」なのかです。
例えば『保育所』で言えば、設置義務は「都道府県」で実施義務は
「市町村」保育内容の基準は「厚生労働大臣」
これで合ってますか?
社会福祉法人は「都道府県」要保護児童対策地域協議会は「市町村」
ファミリーホーム事業者認定は「都道府県」
介護保険制度「市町村」里親は「都道府県」
家庭的保育事業は「国」の制度で実施は「市町村」
合ってますか?(苦笑)
ホント混乱してます!!!
うぱみさんはどうしてましたか?どうやったらスッキリ整理、
覚えられるのでしょうか?
はたまた、これだけは絶対!てのはありますか?
お忙しいところすみませんが、アドバイス頂けると嬉しいです。
五十の手習いさん、コメントありがとうございます。
まとめてみたのですが、上手くまとまらず(明日アップ予定です)。難しいですね~。
「市町村」というのは、「住民にとって身近&財政難の所もある」ので、「サービス提供のための窓口&すごーくお金のかかることはできない」。
「都道府県」は、市町村ほど身近じゃないです。市役所に入っても、県庁ってあんまり行きませんから。なので、私たちがすぐ利用できるようなサービスというより、児童福祉施設とか、高額医療費の支給とか、児童の権利擁護に関することを扱っている、そういうイメージで勉強を進めていくといいと思います。
うぱみさま
こんばんは。
何個も何個も質問してしまってスミマセン
お忙しい上に、コメントは私だけでなくたくさん着てますでしょうから、1つ1つ返信 本当に大変かと思います。
うぱみさんのサイトは本当にわかりやすく、ミニテストも紙でやるよりあきらかに力が付くので思いっきり活用させて頂いてます。
その結果、たくさん質問することになってしまい、お許し下さい。
明日のアップ楽しみにしております。