「モンテッソーリ」については、毎回のように保育原理または、教育原理で出題されています。
幼児教育に尽力した人で、保育士試験頻出です!
「モンテッソーリ幼稚園」というのをニュースで耳にした方も多いかと思いますが、保育士試験で出題されるのは、主に「モンテッソーリ教具」や「モンテッソーリ・メソッド」といった教育手法についてです。
モンテッソーリ幼稚園に通わなくても、モンテッソーリの考え方を勉強すれば、自宅でモンテッソーリ教育をするのも夢じゃないですし、子どもを見る時の視点も養われますよ♪
本題に入る前に、簡単なクイズです☆
○×で、考えてみてくださいね。
- モンテッソーリは、女性である。
- モンテッソーリは、フランス人である。
- モンテッソーリは、「子どもの家」を創設した。
- モンテッソーリ教具は、「恩物」と呼ばれている。
答えは、下の方にあります(^O^)/
モンテッソーリってどんな人?過去問から
過去問を見ると、モンテッソーリの思想について、細かく出題されています。まず、過去問から、モンテッソーリってどんな人なのか、考えてみましょう。
平成26年度再試験 保育原理 問2
次の文は、モンテッソーリ(Montessori, M.)に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- ローマ大学医学部において、イタリアで初めて女性で医学博士号を取得した。
- 1907 年「子どもの家」を創設し、『クマのプーさん』『プー横丁にたった家』などの童話を著した。
- 教育力のある指導者を養成するために「幼児教育指導者講習科」を設け、そこに6歳以下の子どもたちのための「遊戯および作業教育所」を付設した。
- 子どもは自らを成長・発達させる力をもって生まれてくる、との信念の基、自著『学校と社会』の中で、大人は子どもの自由を保障し自発的な活動を援助する存在に徹しなければならないと主張した。
(選択肢省略)
正答:A○ B× C× D×
マリア・モンテッソーリ。マリアさん、女性!です。
イタリア人!です。
モンテッソーリのキーワード
- イタリア人
- 女性!
- イタリア初の女性医学博士
「子どもの家」を創設したのは、モンテッソーリですが、『クマのプーさん』『プー横丁にたった家』なんて誰が書いたんでしょう?と調べてみたら、アラン・アレクサンダー・ミルンって人らしいです。知らない・・・何でこんな著書が選択肢に?!イギリスの児童文学だからでしょうか?
「遊戯および作業教育所」を作ったのは、フレーベル。「キンダーガルデン」を作ったことで有名ですが、その前身となる施設です。
『学校と社会』。これは言わずもがな、デューイの著書ですね。
平成27年度本試験 保育原理 問6
次の文は、モンテッソーリ(Montessori, M.)についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- スイスの教育思想家であり教育者であった。ルソー思想に共鳴し『隠者の夕暮』『リーンハルトとゲルトルート』などを著した。
- 「保育学校」(nursery school)を創設し、健康増進と生活習慣形成に関する保育内容を充実させた。
- ローマのスラム街に「子どもの家」を開設し、十分に親の保護を受けていない子どもを収容して子どもの生活を落ち着かせ、独自の教具を用いて保育を行った。
- 『創造する子供』『幼児の秘密』『子どもの発見』などの著作がある。
(選択肢省略)
正答:A× B× C○ D○
著作についての選択肢が2つあるので、どちらかが正解で、どちらかが不正解と何となく感じますね。『隠者の夕暮れ』『リーンハルトとゲルトルート』はペスタロッチの著作です。
「保育学校」を創設したのは、マクミラン姉妹で、イギリスのロンドンで貧困家庭の子どものために作られました。
「子どもの家」『子どもの発見』は、モンテッソーリのキーワードなので、覚えておきましょう。
モンテッソーリのキーワード
- ローマのスラム街に「子どもの家」を開設
- 著書『子どもの発見』
敏感期とは
平成25年度本試験 教育原理 問4
次の文の著者として正しいものを一つ選びなさい。敏感期というのは、発育のうちにすなわち生き物の幼児期にあらわれる特別敏感な状態のことであります。それは一時的のもので、その生物に一定の能力を獲得させるのに役だつだけです。それが済めば、その敏感な状態は消えます。それでどの特性も、一つの衝動に基づく限られた短期間に発達します。成長とは受け継いだ生まれついた無計画な発育のことではなく、周期的にあらわれる本能によって細心に指導される内面的な努力の結果であります。そういう本能が、発育のある段階に、その生き物に精力の消費を強制します。その精力の使い方は、おとなになった人のものとははっきり区別されます。
- ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.)
- ロック(Locke, J.)
- フレーベル(Fröbel, F.W.)
- モンテッソーリ(Montessori, M.)
- ルソー(Rousseau, J.-J.)
「敏感期」というのも、モンテッソーリのキーワードですね。
「敏感期」という発想は、モンテッソーリ以前からあった発想なのですが、それを教育に用いたのはモンテッソーリが初です。
問題文に示されている文章は堅くて、なんのこっちゃ?!と思う方も多いかと思いますが(読むのも嫌になるような文章ですよね。)
敏感期とは
- 生物の幼少期に一定期間現れる
- 環境の中の特定の要素に対して、それをとらえる感受性が特別に敏感になる
- その後の成長の基盤となる
幼児期には、幼児期の特徴的な学び方があります。
様々な物事に対する敏感期(環境の中の特定の要素に対して、それをとらえる感受性が特別に敏感になる時期)は、次々と現れ、消えていきます。
この時期に、手や身体をいっぱい動かして遊ぶのと、席に着かせて漢字を覚えさせるのは、どちらが子どもの学び方に合っているのでしょうか?
敏感期をとらえ、敏感期に合った学び方をするには、大人の側も敏感期について理解を深めておくことが必要です。
それぞれの敏感期の内容は、試験には出ませんが、モンテッソーリ教育を理解するのに役立つと思うので、載せておきます。へ~って感じで読んでみてください。
3歳までの子どもの敏感期
☆吸収する心
- 写真を取るような速さで、見るもの、聞くもの、触れるものすべてを積極的に吸収する。
- 美しい言葉や音楽、いつも愛されているという確かな安心感、豊かな文化や自然などが身近にあることが望ましい。
☆秩序への感受性
- 決まった順番で体を洗う、物と所有者の関係を結びつけるなど、秩序が好き
- 大きさ、長さ、色、においなどを区別し、集めたり、並べたりする
- 2~3歳ごろがピークで、6歳ごろには消えてしまう
「人間が3歳までに得る知識は、大人がその後の60年間一生懸命に努力して獲得する量にひとしい」と言われているのだそうです。
ティッシュ箱からティッシュをみんな出してしまったり、障子に穴をあけるのを楽しんだり、髪の毛を引っ張ったり、大人が困る、けれど誰でもやるような、あの行動の影に「敏感期」!別にいたずらしているわけじゃなくて、感受性が強いが故のこの時期特有の行動なので、実は喜ぶべきなのかもしれませんね。
2歳ごろには、積み木を並べたり、ミニカーをトレイの上に集めたりといった行動も見られるようになります。お子さんのいる方は、ぜひ一つ一つの子どもの行動が、どんな感受性に基づいているのか、考えてみてくださいね!
3~6歳の敏感期
- 感覚の洗練
- 筋肉運動の調節
最近、スマホを使って自分で動画を検索してみている幼児が増えているようですが、その行動がどれだけ子どもの成長のチャンスを奪っていることか!
「この時期に感覚を洗練することは、創造的な人になるために決定的に重要なことで、高度の技術や専門知識やモラルを将来身につけるための基礎になる」のだそうですよ。
子どもは、視覚、聴覚、嗅覚など様々な感覚を通して、色々な発見をして教えてくれます。そんな時は、「それは○○だからだよ」なんて長たらしい野暮な説明はせず、「ほんとだ~」と一緒に体験してあげる方が、脳により多くの刺激がいき、感受性が豊かになります。
子どもは、何度も同じことを体験したがります。「痛い」「熱い」「すっぱい」なんてことでも繰り返し体験したがるのは、大人からしたら不可解な行動ですが、「さっきやったでしょ」とたしなめるのではなく、子どもが心ゆくまで見守ってあげることが大切です。
重いものを持つ、線の上を歩く、階段を数段上から飛び降りるなど、自分を鍛えるために精一杯努力をする時期でもあります。(くれぐれも安全性には十分配慮してあげてください!)
実際にモンテッソーリは、日常生活の中でバランス感覚が育つように、教室の床に楕円の線を描き、その上を色々な物を持ったり、様々な姿勢で歩かせることを毎日1回はしていたそうです。お盆に物をのせて運ぶことも大切にしていました。
ここでもう一度、先の長い問題文に戻って、読んでみてください。先ほどより、文章の意味がよくわかるはずです、きっと(*^^)v
モンテッソーリ教具
モンテッソーリ教育の特徴は、教具にもあります。
木でできていて、子どもの集中を邪魔せず、気づきを得られる程度の色がついています。色や形、重さ、感触など五感を刺激しながら学ぶことができます。
それぞれの教具には、どの感覚器官をどのように刺激するのか論理づけがされていて、仕様のための細かい手順があります。
これは、「大人のやることを模倣する」という幼児期の特徴に基づくものです。
ただし、教具の使い方は子どもによって変わります。先生は、その子に合った最適な使い方を教えてくれます。
教具専用の棚に、整然と並べてあり、子どもたちは自分のやりたい教具を選んで使います。それぞれの教具は、1つずつ置いてあります。
多くの子は、毎日繰り返し同じ教具を、気が済むまでやります。
平成28年度前期試験 教育原理 問6
次に示すものは、ある人物が当初は障害児教育を行うために考案した教具の一部である。これらを考案した人物は誰か。正しいものを一つ選びなさい。着衣枠、重量板、触覚板、円柱さし、ピンクタワー、算数棒、音感ベル
1 フレーベル(Fröbel, F.W.)
2 エレン・ケイ(Key, E.)
3 イリイチ(Illich, I.)
4 モンテッソーリ(Montessori, M.)
5 ルソー(Rousseau, J.-J.)
答えは、モンテッソーリ。「ある人物」って書いてあるのも特徴ですね。「モンテッソーリ」って書いたら、答えわかっちゃいますから。
教具については、聞き慣れないものが多いですね。
モンテッソーリ教具としてよく言われるのが、「円柱さし」です。動画がありましたので、時間のある方は見てみてください。
手先を使って円柱を指す。この、「手先を使う」という動作をモンテッソーリ教育ではとても重視しています。手先の器用さだけでなく、物の大きさ、重さを手と目で感じ取ります。物の大きさの変化、秩序などを学んでいきます。
「着衣枠」は、木の枠に布が貼ってあって、真ん中にボタンやひもがあります。一個ずつボタンをとめていきます。
「重量板」は、重さの違う3種類の木の板です。目をつぶって、重さの違いを確かめます。
「触覚板」は、ざらざらの板とつるつるの板が交互に貼ってある木の板で、触覚の洗練を目的としています。
ピンクタワーは、ピンク色の立方体を積み上げていきます。上に行くほどだんだん小さくなり、秩序を感じます。
算数棒は、赤と青が交互に塗られた長い棒。「1」の算数棒は赤、「2」の算数棒は赤青、「3」の算数棒は赤青赤と、色が塗られています。小学1年生の算数セットの中にあるマスが書いてある棒のイメージに近いですが、それより、ずっと長いです。
ピンクタワーの立方体も、算数棒も、厚紙などでそれっぽい物を作ることはできますが、木のいいところは重さの違いがはっきりしているということですね。
音感ベルは、白黒のベル(白はドレミなどピアノの白鍵の音、黒はド♯レ♯など黒鍵の音)と、木製のベルがあり、白黒のベルと木製のベルの同じ音を探したり、目をつぶってベルを鳴らし白色のベルだけ取り出したりします。
モンテッソーリ理解のための本
モンテッソーリ入門のためのお薦めの本。私の愛読書です。
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具体的な場面での敏感期の現れ方、保育者の関わり方が丁寧に説明されていて、考えさせられる一冊です♡
↑こちらは写真が多いです。様々なモンテッソーリ教具が写真付きで紹介されています。モンテッソーリ教具って買うと高いのですが、家にあるものでやる方法も紹介されているので、小さいお子さんのいる方にお勧め!
解答
さて、初めの問題の解答です。
- モンテッソーリは、女性である。 →○
- モンテッソーリは、フランス人である。 →×イタリア人
- モンテッソーリは、「子どもの家」を創設した。 →○
- モンテッソーリ教具は、「恩物」と呼ばれている。 →×「恩物」はフレーベルが考案しました。
どうですか?もう簡単ですね(^O^)/
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