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【R4児童養護施設入所児童等調査】②施設によって違う?障害・虐待の有無とその現状

この記事は約6分で読めます。

里親委託児と、児童養護施設入所児では、虐待を受けた子が多いのはどちらでしょう?

障害のある子が多いのはどちらでしょう?

また、障害のある子や、虐待を受けた子が多く生活しているのは、どの施設でしょうか?

  • 児童養護施設
  • 情緒障害児短期治療施設(児童心理治療施設)
  • 児童自立支援施設
  • 乳児院
  • ファミリーホーム

ぱっと、分からないかもしれませんが、見当をつけてから読んでみてくださいね!

動画で学習♪

「児童養護施設入所児童等調査」(令和5年2月1日現在)の中から、試験に出やすい部分を解説しています。25分の力作動画です!ぜひご覧ください。

今回の記事に該当する内容は、後半で解説しています。

資料解説

前回、各施設の児童の年齢・在籍期間について解説しましたが、その続きです。

元になっている最新の資料は、「令和4年度児童養護施設入所児童等調査の概要」(令和5年2月1日現在)です。

うぱみ
うぱみ

当サイトでは、視覚的に理解できるようにグラフにしてありますが、詳しい資料が見たい!という方は、こちらをチェックしてみてくださいね☆

※令和6年2月に子ども家庭庁より出されました。5年ごと出されるので、令和11年度前期試験までは、このページで解説している「R4」の資料です。

障害の有無

「心身の状況別調査」では、知的障害、AHDH、LD、広汎性発達障害などの発達障害・精神疾患を有しているかどうか、についての調査が行われています。

保育士試験で「児童養護施設入所児童等調査」から出題される問題では、「心身の状況別調査」で「該当あり」の児童を、「障害等がある」児童と表現することがあります。

「心身の状況別児童数」のグラフで「該当あり」の児童数を見ると

  • 「該当あり」の割合が最も多いのは、児童心理治療施設で8割越え(87.6%)
  • 児童自立支援施設では約7割
  • 里親・乳児院・母子生活支援施設では3割前後
  • 児童養護施設は4割程度で、前回調査よりも増加!
  • ファミリーホーム・自立援助ホームは5割前後

令和4年度前期試験 社会的養護 問2

児童養護施設の入所児童について、心身の状況において障害等を有する児童は、約7割である。

正答:×(4割程度)

児童養護施設は、約4割。 約7割は、児童自立支援施設ですね!

養護系ではどんな障害の子が多い?

「該当あり」の内容をもっと詳しく見てみましょう。 養護系(里親・児童養護施設)で多いのが、「知的障害」(黄緑色)。

※乳児院では、このグラフにはない「身体虚弱(10.9%)」が最も多いです。「身体虚弱」の割合は、他の施設の児童では少ないので、このグラフに入っていません。

ADHD(水色)や、自閉症などの広汎性発達障害(紫色)も多い傾向にあります。

非行系施設ではどんな障害の子が多い?

「該当あり」が約割の児童心理治療施設では、広汎性発達障害ADHDが多いです。

入所児童の半分が広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)、ADHDってすごいですね。(複数回答なので、両方持っている子もいます。)

反応性愛着障害の割合も高くなっています。

「該当あり」が約割の児童自立支援施設でもADHD、広汎性発達障害の割合が高くなっています。

ホーム系ではどんな障害の子が多い?

「ホーム系」と勝手に名付けてまとめていますが、ファミリーホームと自立援助ホームは別物ですよ!

ファミリーホームは、里親の「人数多い」版のようなもの。

「良好な家庭的環境」「家庭と同様の養育環境」の違い!施設の小規模化とは?
社会的養護の必要な児童を、できるだけ、家庭的な雰囲気の中で育てたい。 そのような願いから、現在里親委託の推進とともに、児童養護施設と里親家庭の中間にあたる小規模施設の充実も進められています。 「小規模グループケア(分園型)」「グループホーム...

自立援助ホームは、養護施設などを退所した子が生活するところです。

「全く別物」なので本来は一緒にするべきではないですが・・・。

名前が似ていてまぎらわしいので、両者を比べながら違いを確認していこう!ということでまとめています。

グラフの形はよく似ていますね!

知的障害・ADHD・広汎性発達障害が1割超えです。

LGBT調査

前回調査より、「LGBT」について調査されることになりました。

令和3年度後期試験で出題されています!

LGBTとは、性的少数者のこと。統計的には、人口の3~10%ぐらいいるとされています。

自立援助ホームで圧倒的に多いですね!

自立援助ホームは「入所時平均16.6歳」で、在所している子の年齢がほかの施設に比べ圧倒的に高いですからね(*’▽’)

それでも1.6%って・・・。

「世間一般より、自立援助ホームの子の方がLGBT少ないですよ」って言いたいのかな?

言い出せないか・本人も自覚していないだけでは?

そもそもこの統計とってどうしようとしたの?ってなりますね(;´Д`)

令和3年度後期試験 社会的養護 問3

自立援助ホームの入所児童等のうち、「LGBT」は1%程度である。

正答:× ※

※前回調査では1.3%なので答えは「〇」でしたが、今回調査では1.6%なので答えは×になります。

ミニテスト

「心身の状況別調査」のミニテストです。

うまく表示されない方はこちら(別ウインドウで開く)

虐待経験の有無

「虐待経験あり」は、里親・乳児院では5割前後ですが、そのほかの施設は半数を超えています。 児童心理治療施設では、約8割の子が被虐待経験を有していることがわかります。 児童自立支援施設でも、被虐待児が多いですね。 この二つは、障害のある子も多いですね。 虐待の結果、障害が出てしまったのか? 障害があって育てにくかったから、虐待をしてしまったのか・・・ どちらにしても、子ども自身だけでなく、親も苦しかったのではないでしょうか。

令和元年度後期試験 社会的養護 問5

児童養護施設入所児童の「被虐待経験あり」は全体の約3割であった。

正答:×

令和3年度後期試験 子ども家庭福祉 問8

次のうち、「児童養護施設入所児童等調査結果」において、委託(入所)時に被虐待経験のある入所児童の割合が高い順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  1. 児童心理治療施設
  2. 乳児院
  3. 自立援助ホーム
  4. 児童養護施設
  5. 母子生活支援施設

正答:A→C→D→E→B

R4調査でも、児童心理治療施設(84%)→自立援助ホーム(78%)→児童養護施設(72%)→母子生活支援施設(65%)→乳児院(51%)で、答えは同じです(^^)

どの施設の子に、どんな虐待経験が多い?

虐待の内容を見てみましょう。 養護系施設では、身体的虐待やネグレクトが多くなっています。   児童心理治療施設・児童自立支援施設では身体的虐待が最多。3人中2人が身体的虐待経験を有しています。

令和2年度後期試験 社会的養護 問5

「児童養護施設入所児童等調査結果)によると、被虐待経験のある乳児院入所児が受けた虐待の種類は、「ネグレクト」が最も多い。

正答:○

「性的虐待」は、どの施設でも1割前後です。

ミニテスト

うまく表示されない方はこちら(別ウインドウで開く)

+αミニテスト

「心身の状況別調査」「虐待経験の有無」についての理解を深めるミニテストです。

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コメント

  1. みさき より:

    クイズがあるので理解度が確認できてありがたいです。試験まで沢山利用させてください。

    ひとつ気になったところがあります。クイズの解答で出てくる文で、「児童養護施設の子どもの約6割が虐待経験がある。その中で一番多いのは身体的虐待である。」というような内容が書かれていますが、養護施設の被虐待児のトップはネグレクトではないですか?

    • うぱみ より:

      みさきさん、ご指摘ありがとうございます。

      その通りです。1番はネグレクト、身体的虐待は2番目でした。
      解説まで読んでくださっているとは・・・ありがたい限りです。

      また、何かありましたら、遠慮なく指摘してください(^^)
      試験勉強頑張ってくださいね。応援しています!

      • みさき より:

        さっそくありがとうございました。解説も勉強になることが多いです。
        本当にありがとうございます。試験勉強がんばります。

  2. アリエル より:

    いつもありがとうございます★立て続けに質問ごめんなさい。情緒障害児短期治療施設って障害があって行動に問題のある子供が入るところって解釈してしまっているのですが それだと障害ありのパーセンテージって100%にならないんでしょうか?良くない行動する子供は児童自立支援施設。軽度の障害があって問題起こす子供が情緒障害児短期治療施設 ではないのでしょうか?><

    • うぱみ より:

      アリエルさん、コメントありがとうございます。

      情緒障害児短期治療施設の目的には、「軽度の情緒障害を有する児童」とあるのですが、これには不登校や引きこもりなどの「非社会的行動」を起こす子も含むらしいです。おおむね6ヶ月以内の心理療法や生活指導を通して、社会適応能力の向上を目指します。

      児童自立支援施設の場合、対象となるのは「反社会的行動」を起こすか、起こす恐れのある子。反社会的行動は、窃盗、障害、家出、暴言など。

      どちらも非行系の施設ですが、情短の方が軽いというか、非行とまでは行かないけれど、児童養護施設で預かるには重い子たちなのかな?と解釈しています。

      • アリエル より:

        すごいわかりやすい説明をありがとうございます!なるほど~!ひきこもりや不登校の子達も 納得です!ひきこもりの子達は児童自立支援施設には入れれないですもんね☆いつも本当に感謝です!(*^_^*)

  3. チョコ より:

    はじめまして。
    独学で勉強してるので、
    グラフなどにしていただいてるので、理解しにくい部分もすごくわかりやすくて。
    締めのテストも確認にすごくいいし、何より解説がわかりやすくて
    本当に助かってます。

    毎日お忙しい中ありがとうございます。
    テストまで。フルに利用させていただきます。

    • うぱみ より:

      チョコさん、コメントありがとうございます!

      お役に立ててうれしいです(●^o^●)
      試験勉強頑張ってください~✿

  4. まつの より:

    夜分遅くに申し訳ございません…。毎日お世話になっております

    虐待の内容に関しまして、虐待の最多は身体的虐待やネグレクトと上記グラフにはあるのですが、保育士合格テキスト(ナツメ社・うぱみさまも使用したとのことで、私も同じテキストです。)の児童家庭福祉(P237)には、26年度のグラフが掲載しており、そこには

    身体的虐待29.4%
    ネグレクト25.2%
    心理的虐待43.6%

    とあり、右側の解説には『これまで長年、身体的虐待が一番多かったのですが、平成25年から心理虐待が最多となりました』との記載がありました。

    情報が更新されたということなのでしょうか?
    もし、私の勘違いでこの話とは別ものでしたら申し訳ございません…。

    ご教示の程、宜しくお願いいたします。

    • うぱみ より:

      まつのさん、コメントありがとうございます(*^^*)

      グラフがたくさんあってややこしいのですが、児童福祉施設に入所している子の虐待件数は、この記事で紹介している通りですm(_ _)m

      ご指摘のグラフを調べてみたのですが、「児童相談所での虐待相談の内容別件数」のグラフだと思います。
      「虐待してしまった」と親が児童相談所に相談しに行ったり、「虐待かもしれない」と警察や学校からの通告で発覚したりした虐待については、心理的虐待が多かった(心理的虐待を見つけられることが多くなった)ということだと思います(^^)

      • まつの より:

        うぱみさま

        いつもお世話になっております。返信が遅くなってしまい、大変失礼いたしました(:_;)
        見ているグラフが違ったのですね、すっきりしました!!ありがとうございます!

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