保育士試験「社会福祉」で、出題が多いけれど、いまいちわかりにくい「福祉事務所」。
「福祉事務所」と「児童相談所」の役割の違いを考えながら、職員も併せて覚えておくと、試験に対応しやすいです。
今回は、「福祉事務所」と「児童相談所」について、設置義務・事業内容・職員などについて解説します!
後半では、関連する事項として、知的障害者更生相談所や身体障害者更生相談所についても確認していきます。
福祉事務所とは?
毎回の試験で出題のある「福祉事務所」。 ですが、「事業内容が多すぎてわかりにくい」「身近に感じられなくて、覚えにくい」と苦労している方は多いと思います。

まず、福祉事務所は、「社会福祉法第14条」に規定されています。
設置義務・任意設置はどこ?
設置されているのは
- 設置義務:都道府県、政令指定都市、市、特別区
- 任意設置:町村
ということで、福祉事務所は、意外と身近にあるんですね! ちなみに、2026年4月1日時点の福祉事務所の数はこちら!
| 設置主体 | 都道府県 | 一般市(特別区含む) | 政令・中核市 | 町村 | 計 |
| 設置自治体数 | 45 | 733 | 82 | 44 | 904 |
| 福祉事務所数 | 204 | 740 | 250 | 44 | 1,238 |
全国では、1200か所を超えています!

福祉事務所の事業内容は?
福祉事務所の事業内容(役割)は、「社会福祉六法に定められた援護、育成または構成の措置に関する事務」です。 「社会福祉六法」は- 児童福祉法
- 身体障害者福祉法
- 生活保護法
- 知的障害者福祉法
- 老人福祉法
- 母子及び父子並びに寡婦福祉法
【社会福祉法第14条】 5 都道府県の設置する福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法及び母子及び父子並びに寡婦福祉法に定める援護又は育成の措置に関する事務のうち都道府県が処理することとされているものをつかさどるところとする。 6 市町村の設置する福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務のうち市町村が処理することとされているもの(政令で定めるものを除く。)をつかさどるところとする。つまり
- 都道府県の福祉事務所:生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法の3法
- 市町村の福祉事務所:福祉6法
福祉事務所の職員
福祉事務所の主な職員は「社会福祉主事」と呼ばれることを覚えておきましょう。
- 所長
- 指導監督を行う所員(社会福祉主事)
- 現業を行う職員(社会福祉主事)
- 事務を行う所員
「社会福祉主事」になるには、「社会福祉主事任用資格」を持った人が、都道府県や市町村の公務員試験に受かり、福祉事務所に配属されることにより、初めて「社会福祉主事」となることができます。 逆に言えば、福祉事務所以外の場所では「社会福祉主事」を名乗ることはできないのです。(「任用資格」と言います。) ちなみに「社会福祉主事任用資格」は
- 大学等において社会福祉に関する科目を3科目以上納めて卒業
- 指定の通信教育課程を修了
- 指定の養成機関を終了
- 社会福祉士を取得
- 精神保健福祉士を取得
などが必要です。 「社会福祉主事任用資格」は、児童福祉司、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司の基礎資格ともなっています(後述)。
福祉事務所には、社会福祉士の資格を持った方もいるかもしれませんが、福祉事務所の職員は「社会福祉主事」です!
福祉事務所ミニテスト
児童相談所とは?
児童相談所は、「児童福祉法」に規定されています。
設置義務・任意設置は?
児童相談所は、都道府県と指定都市に設置義務があります。
- 設置義務:都道府県・指定都市
- 任意設置:中核都市、東京23区などの特別区
ニュースなどでもよく出てくるので、なんとなく身近なイメージですが、福祉事務所に比べるととても少ないですね。
児童相談所の事業内容
児童相談所は、どんなことをしているでしょうか? 児童相談所には、次の4つの機能があります。
| 市町村支援機能 | 市町村の児童家庭相談と連携。 連絡、調整、市町村への情報の提供 |
| 相談機能 | 子どもに関する家庭などからの相談のうち、専門的な知識や技能を必要とするものについて、総合的に調査、診断、判定。援助を行う。 |
| 一時保護機能 | 必要に応じて、子どもを家庭から離し、一時保護を行う。 |
| 措置機能 | 里親や小規模住居型児童養育事業に委託、児童福祉施設等に入所させる |

児童相談所の職員
児童相談所の職員
- 所長
- 児童福祉司
- 児童心理司
- 精神科医等(児童相談所の規模による)
※児童相談所の長は、親権者の親権喪失、親権停止の審判の請求、審判取り消しの請求、未成年後見人の選任・解任の請求を家庭裁判所に行うことができます。
児童相談所には「児童福祉司」が配置されます。
「社会福祉主事任用資格」だけでは、「児童福祉司」になることはできず、社会福祉主事として2年以上相談援助業務に従事するなどの実務経験が必要となる場合があります。
児童福祉法第13条
都道府県は、その設置する児童相談所に、児童福祉司を置かなければならない。
③ 児童福祉司は、都道府県知事の補助機関である職員とし、次の各号のいずれかに該当する者のうちから、任用しなければならない。
- 児童虐待を受けた児童の保護その他児童の福祉に関する専門的な対応を要する事項について、児童及びその保護者に対する相談及び必要な指導等を通じて的確な支援を実施できる十分な知識及び技術を有する者として内閣府令で定めるもの
- 都道府県知事の指定する児童福祉司若しくは児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設を卒業し、又は都道府県知事の指定する講習会の課程を修了した者
- 学校教育法に基づく大学又は旧大学令に基づく大学において、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者であつて、内閣府令で定める施設において一年以上相談援助業務(児童その他の者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う業務)に従事したもの
- 医師
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
- 社会福祉主事として2年以上相談援助業務に従事した者であって、内閣総理大臣が定める講習会の課程を修了したもの
また、「医師」や「公認心理師」も児童福祉司になることができます。
知的障害者更生相談所
知的障害者本人やその家族からのさまざまな相談に応じ、専門的な指導、判定業務などを行う機関です。
知的障害者更生相談所
- 設置義務:都道府県
- 任意設置:指定都市
- 職員:知的障害者福祉司など
- 根拠法:知的障害者福祉法
知的障害者更生相談所では、療育手帳の交付を行っています。(療育手帳の交付には児童相談所又は知的障害者更生相談所の判定が必要)
知的障害者福祉司になるためには、社会福祉主事任用資格を持ち、かつ知的障害者の福祉に関する事業に2年以上従事した経験などが必要です。
身体障害者更生相談所
身体に障害のある方や家族等に対し、専門的な知識及び技術を必要とする相談及び指導を行います。
身体障害者更生相談所
- 任意設置:都道府県、指定都市
- 職員:身体障害者福祉司など
- 根拠法:身体障害者福祉法
身体障害者福祉司になるには、「社会福祉主事任用資格を持ち、身体障害者の更生援護等に関する事業に2年以上従事した経験のあるもの」などの要件があります。
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