「良好な家庭的環境」と「家庭と同様の養育環境」
「小規模グループケア(分園型)」「グループホーム」「ファミリーホーム」の違いをしっかり理解していきましょう! ↓この図は出題されるので、よく理解しておきましょう! 児童を対象とした「社会的養護」というと、一般的には、「里親」や「児童養護施設」「乳児院」のイメージが強いですよね。 しかしながら、現在は「施設の小規模化」や「里親の多様化」が進んでいます。うぱみ
保育士は福祉職!
こういった複雑な社会的養護の仕組みも知っておきたいですよね☆
施設→昔からある施設養護
- 児童養護施設
- 乳児院
「(できる限り)良好な家庭的環境」=小規模化した施設養護
- 地域小規模児童養護施設(グループホーム)
- 小規模グループケア(分園型)
うぱみ
施設養護を「できる限り家庭的にしていこう!」と小規模化したイメージです。
「家庭と同様の養育環境」=里親
- 里親
- 養子縁組
- 小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)
児童福祉法より
児童福祉法第3条2には次のようにあります。
【児童福祉法第3条2】
児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。
一見難しそうですが、読み解いてみると・・・
- 「家庭と同様の養育環境」:児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合
- 「良好な家庭的環境」:児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合
過去問でチェック
保育士試験・社会的養護の過去問を見てみましょう。
R6後期 社会的養護 問4
「児童福祉法」第3条において、家庭における養育が適当でない場合、児童が「家庭における養育環境と同様の養育環境」において継続的に養育されるよう必要な措置を講じることとされている。次のうち、「社会的養育の推進に向けて」(令和5年 こども家庭庁)において、「家庭と同様の養育環境に該当するもの」として示されているものを2つ選びなさい。
類似の問題は、令和5年度前期試験でも出題されています。
- 地域小規模児童養護施設
- 里親
- 分園型小規模グループケア
- 小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)
- 乳児院
ミニテスト
とにかくまずは、「良好な家庭的環境」と「家庭と同様の養育環境」を見分けられることが大事です! ミニテストでチェックしてみましょう♪ →うまく表示されない方はこちら(別ウインドウで開く)「良好な家庭的環境」→児童養護施設・乳児院の小規模化
大前提として、社会的養護では、児童養護施設・乳児院を大舎から中舎・小舎へ、さらに小規模な施設へ、という動きがあります。
【社会的養護の基盤づくり】児童養護施設、乳児院等の施設についても、できる限り小規模かつ地域分散化された家庭的な養育環境の形態(家庭的養護)に変えていく。
「家庭的な養育環境(家庭的養護)」の例として出てくる言葉が、小規模グループケア(分園型)とグループホームです。
小規模グループケア(分園型)・グループホームは、児童養護施設・乳児院を小規模化したものです。「良好な家庭的環境」に分類されています。
どちらも法律的な位置づけとしては、「第1種社会福祉事業である児童養護施設の一部(法人形態)」です。
小規模グループケア(分園型)
小規模グループケア
将来的には、児童養護施設の本体施設は、すべて小規模グループケアへ移行することが、考えられています。
「小規模御グループケア」には、「本体施設型」「別棟」「分園型」があります。
そのうち「分園型」が、「良好な家庭的環境」にあたります。
- 本体施設の中や分園において、小規模なグループで養育を行う
- 対象:要保護児童(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童)
- 児童養護施設、乳児院、児童心理治療施設、児童自立支援施設で実施
- 1グループ4~6人
- 令和5年10月:2,394か所
地域小規模児童養護施設(グループホーム)
地域小規模児童養護施設(グループホーム)
グループホームには、職員として、児童指導員または保育士を置くことになっています。
- 本体施設の支援のもと、地域の民間住宅などを活用して家庭的養護を行う
- 対象:児童養護施設に入所する子どものうち、本体施設から離れた家庭的な環境の下で養育することが適切な者
- 定員4~6人
- 令和5年10月:607か所
ミニテスト
ちょっと難しいかも(‘Д’) →うまく表示されない方はこちら(別ウインドウで開く)「家庭と同様の養育環境」→ファミリーホーム
「家庭と同様の養育環境」は、里親、養子縁組、小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)をいいます。 ファミリーホームは、里親の規模を大きくしたものです。 養育者の住居で、子どもを養育します。 法律的な位置づけとしては、「第2種社会福祉事業(主に個人、法人も可)」です。
小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)
里親の規模を大きくしたものなので、養育者・補助者によって運営されています。
個人で行う場合、
- 養育者の家庭に児童を迎え入れて養育を行う家庭養護の一環
- 対象:要保護児童(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童)
- 事業内容:児童間の相互作用を活かしつつ、児童の自主性を尊重し、基本的な生活習慣を確立するとともに、豊かな人間性及び社会性を養い、児童の自立を支援
- 根拠法:児童福祉法第6条の3第8項
- 実施主体:都道府県、指定都市、児童相談所設置市
- 1グループ5~6人
- 令和4年度末:446か所 1,718人
- 養育里親の経験者が専業で行うもの
- 児童養護施設・乳児院の経験者が施設から独立して行うもの
うぱみ
2の場合は、グループホームとの違いははっきりしないものもあるようです。
ファミリーホーム養育者の要件
養育者は3人以上で 養育経験のある夫婦2人(専業)+補助者1人(非常勤で雇用) というのが一般的なようです。 その他のパターンとしては、- 養育経験のある夫婦(専業+兼業)+補助者1~2人(非常勤)
- 養育経験のある単身者+補助者2人(非常勤)
うぱみ
「補助者」は、その住居に住んでいない人、です。
社会的養護・過去問
過去問をやってみましょう。
R5後期 社会的養護 問8
次のうち、小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
「ファミリーホーム」は、里親事業の延長なので、養育者には「保育士」の資格が必要ありません。
- 養育者は、保育士または児童指導員の資格が必要である。
- 里親養育包括支援事業の支援対象である。
- 養育者の他に補助者を配置することとされている。
ミニテスト
「ファミリーホーム」はよく出題されるので、しっかり理解して、解けるようにしておきましょう♪ →うまく表示されない方はこちら(別ウインドウで開く)里親委託率
社会的養護を必要とする子供の中で、里親やファミリーホームに委託されている児童の割合はどのくらいでしょうか。 「社会的養育の推進に向けて」(R6.4)の資料では、
里親委託率は23.5%(令和4年3月末)
となっています。
「里親委託率」は、
年々増加しています。
里親等委託率(児童養護施設、乳児院、里親、ファミリーホームの委託・措置児童数の合計に占める、里親およびファミリーホームの委託児童数の割合)は、約 40%である。
正当:×
うぱみ
「里親委託率」は結構出題されています。
「4人に1人くらい」と覚えておくといいですよ!
施設の小規模化の将来像
施設の将来像について、「社会的養育の推進に向けて(令和6年4月)」という資料には、と書いてあります。
- 家庭養育優先原則に基づき、家庭での養育が困難又は適当でない場合は、養育者の家庭にこどもを迎え入れて養育を行う里親やファミリーホーム(家庭養護)を優先するとともに、児童養護施設、乳児院等の施設についても、できる限り小規模かつ地域分散化された家庭的な養育環境の形態(家庭的養護)に変えていく。
- 大規模な施設での養育を中心とした形態から、一人一人のこどもをきめ細かく育み、親子を総合的に支援していけるよう、ハード・ソフトともに変革していく。
- 施設は、社会的養護の地域の拠点として、家庭に戻ったこどもへの継続的なフォロー、里親支援、自立支援やアフターケア、地域の子育て家庭への支援など、高機能化及び多機能化・機能転換を図る。
- ソーシャルワークとケアワークを適切に組み合わせ、家庭を総合的に支援する仕組みづくりが必要。
コメント
おかげさまで、7月から独学で始め、全ての科目で8割以上取ることができました。仕事と育児で時間がとれず、細切れの時間にこのサイトをよく見ていました。特にこの記事は本番でばっちり出たので、読んでてよかった!!と思いました。
ミニテストも良かったですが、何より解説が分かりやすく、すんなり頭に入りました。
早速二次の準備を始めます。ありがとうございました。
Eさん、コメントありがとうございます(*^▽^*)
すべての科目で8割以上!すごいですね\(^o^)/
2次も頑張ってください❀