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少子化社会対策基本法の基本施策

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次世代育成支援対策推進法が出されたのと同じ2003年、少子化社会対策基本法が施行されました。

次世代育成支援対策推進法は、次代の社会を担う子どもが生まれ、育つための環境整備を、国や地方自治体、企業などが行う、そのために行動計画を作ろう!というものでしたが、少子化対策基本法はどのような内容なのでしょうか。

少子化対策基本法とは?

「少子高齢化社会が進む中、高齢化社会対策ばかりに目をとらわれるのではなく、少子化対策を長期的目線でしっかり行っていこう!どの子も心身ともに健やかに育ち、子どもを生み、育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現すること、少子化の進展に歯止めをかけることが求められているんだ!」というようなことが前文に書かれています。この前文、やたらと長いです(>_<)

しかしながら、我らはともすれば高齢社会に対する対応にのみ目を奪われ、少子化という、社会の根幹を揺るがしかねない事態に対する国民の意識や社会の対応は、著しく遅れている。少子化は、社会における様々なシステムや人々の価値観と深くかかわっており、この事態を克服するためには、長期的な展望に立った不断の努力の積重ねが不可欠で、極めて長い時間を要する。急速な少子化という現実を前にして、我らに残された時間は、極めて少ない。

もとより、結婚や出産は個人の決定に基づくものではあるが、こうした事態に直面して、家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備し、子どもがひとしく心身ともに健やかに育ち、子どもを生み、育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現し、少子化の進展に歯止めをかけることが、今、我らに、強く求められている。生命を尊び、豊かで安心して暮らすことのできる社会の実現に向け、新たな一歩を踏み出すことは、我らに課せられている喫緊の課題である。

ここに、少子化社会において講ぜられる施策の基本理念を明らかにし、少子化に的確に対処するための施策を総合的に推進するため、この法律を制定する。

目的

第1条
この法律は、我が国において急速に少子化が進展しており、その状況が二十一世紀の国民生活に深刻かつ多大な影響を及ぼすものであることにかんがみ、このような事態に対し、長期的な視点に立って的確に対処するため、少子化社会において講ぜられる施策の基本理念を明らかにするとともに、国及び地方公共団体の責務、少子化に対処するために講ずべき施策の基本となる事項その他の事項を定めることにより、少子化に対処するための施策を総合的に推進し、もって国民が豊かで安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。

基本理念

第2条 少子化に対処するための施策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するとの認識の下に、国民の意識の変化、生活様式の多様化等に十分留意しつつ、男女共同参画社会の形成とあいまって、家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備することを旨として講ぜられなければならない。

3 少子化に対処するための施策を講ずるに当たっては、子どもの安全な生活が確保されるとともに、子どもがひとしく心身ともに健やかに育つことができるよう配慮しなければならない。

基本施策

で、具体的には何するの?って話です。

  • 雇用環境の整備(第10条)
  • 保育サービスの充実(11条)
  • 地域社会における子育て支援体制の整備(12条)
  • 母子保健医療体制の充実等(13条)
  • ゆとりのある教育の推進等(14条)
  • 生活環境の整備(15条)
  • 経済的負担の軽減(16条)
  • 教育及び啓発(17条)

保育士試験で大事なのは、11条、12条、17条です。

第11条(保育サービス等の充実)
国及び地方公共団体は、子どもを養育する者の多様な需要に対応した良質な保育サービス等が提供されるよう、病児保育、低年齢児保育、休日保育、夜間保育、延長保育及び一時保育の充実、放課後児童健全育成事業等の拡充その他の保育等に係る体制の整備並びに保育サービスに係る情報の提供の促進に必要な施策を講ずるとともに、保育所、幼稚園その他の保育サービスを提供する施設の活用による子育てに関する情報の提供及び相談の実施その他の子育て支援が図られるよう必要な施策を講ずるものとする。2 国及び地方公共団体は、保育において幼稚園の果たしている役割に配慮し、その充実を図るとともに、前項の保育等に係る体制の整備に必要な施策を講ずるに当たっては、幼稚園と保育所との連携の強化及びこれらに係る施設の総合化に配慮するものとする。

第12条(地域社会における子育て支援体制の整備)
国及び地方公共団体は、地域において子どもを生み、育てる者を支援する拠点の整備を図るとともに、安心して子どもを生み、育てることができる地域社会の形成に係る活動を行う民間団体の支援、地域における子どもと他の世代との交流の促進等について必要な施策を講ずることにより、子どもを生み、育てる者を支援する地域社会の形成のための環境の整備を行うものとする。
第17条(教育及び啓発)
国及び地方公共団体は、生命の尊厳並びに子育てにおいて家庭が果たす役割及び家庭生活における男女の協力の重要性について国民の認識を深めるよう必要な教育及び啓発を行うものとする。2 国及び地方公共団体は、安心して子どもを生み、育てることができる社会の形成について国民の関心と理解を深めるよう必要な教育及び啓発を行うものとする。

「雇用環境に整備」については、第10条にありますが、「次世代育成支援対策推進」のように「行動計画」までは書かれていません。

過去問

平成28年度前期試験 児童家庭福祉問19
次の文は、「少子化社会対策基本法」に定められている「基本的施策」についての記述である。誤ったものを一つ選びなさい。

  1. 国及び地方公共団体は、生命の尊厳並びに子育てにおいて家庭が果たす役割及び家庭生活における男女の協力の重要性について国民の認識を深めるよう必要な教育及び啓発を行うものとする。
  2. 国及び地方公共団体は、子どもを生み、育てる女性が豊かな家庭生活を享受することができ、子育てについての第一義的な責任を果たすことができるよう、子育てに専念できる環境整備を促進する。
  3. 国及び地方公共団体は、子どもを養育する者の多様な需要に対応した良質な保育サービス等が提供されるよう、保育等に係る体制の整備並びに保育サービスに係る情報の提供の促進に必要な施策を講ずる。
  4. 国及び地方公共団体は、保育において幼稚園の果たしている役割に配慮し、その充実を図るとともに、保育等に係る体制の整備に必要な施策を講ずるに当たっては、幼稚園と保育所との連携の強化及びこれらに係る施設の総合化に配慮するものとする。
  5. 国及び地方公共団体は、地域において子どもを生み、育てる者を支援する拠点の整備を図るとともに、安心して子どもを生み、育てることができる地域社会の形成に係る活動を行う民間団体の支援、地域における子どもと他の世代との交流の促進等について必要な施策を講ずる。

正答:2

2は、「子どもを生み、育てる女性が豊かな家庭生活を享受することができ、子育てについての第一義的な責任を果たす」の部分が明らかに変ですね。「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有する」と第2条にありますし。

大綱へ

ちなみに、第7条には

第7条(施策の大綱)
政府は、少子化に対処するための施策の指針として、総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の大綱を定めなければならない。

とあります。この法律に基づいて、2004年に「少子化対策大綱」が制定されます。

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コメント

  1. 入道雲 より:

    初めまして。今年の10月試験に向けて、最近勉強を始めました。
    私も子育て中(1歳の男の子)で思うように時間が取れずにいますが、こちらのHPに出会い希望を持つことができました!!!いま独学で参考書&過去問を用い勉強を進めているところです。
    そこで質問させて頂きたいのですが、法令に沿った問題がすごく多いという印象で、いまネットで一々法令を調べては、どこから出題されているのか照らし合わせて一度出た個所は潰していくという作業をしています。
    理解は深まるのですが・・・時間がかかってしまうし、出題法令の種類が多すぎて途方に暮れています。何か良いアドバイスを頂けましたら幸いです。
    PS.ただ、勉強は楽しく、法令に関しても「世の中こんなに法律があったのか!」とおばさんながら気付きの日々です。

    それではよろしくお願い致します。

    • うぱみ より:

      入道雲さん、コメントありがとうございます✿

      私も、出題された法令を全部書きだしてみたのですが、本当に多いですね(+_+)でもほとんど3年間で1度か2度しか出題されていない法律です。

      よく出題される物は決まっています。
      日本国憲法、教育基本法、学校教育法、社会福祉法、児童福祉法、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準、子ども・子育て支援新制度、次世代育成支援対策推進法、児童の権利に関する条約といった、メジャーなものから条文を押さえていくといいですよ!

      • 入道雲 より:

        うぱみ さま
        お返事ありがとうございます。メジャーなものから押さえるようにしていきます!

        法律もそうですが、関連する様々な「報告書」や「調査結果」からも出題されるのですね・・・><

        勉強は手広く、社会にも目を向けつつ、知識というかデータを頭に入れていく・・・といった感じでしょうか??そんな中、うぱみさんのHPは本当に勉強になります。ありがとうございます。

        ・・・ちなみに、30年度の10月試験を受ける場合、27年・26年あたりの過去問にも手を伸ばしたほうが良いでしょうか?なお、29年・28年のものは現在着手中です!

        よろしくお願い致します。

        • うぱみ より:

          入道雲さん、コメントありがとうございます☆

          ここ数年は年2回試験があるので、過去問は28年・29年度の分で十分と思います。30年前期試験の解答が公開されたら、そこで学習の進み具合をチェックするといいですよ(^O^)/

  2. 入道雲 より:

    うぱみ 様
    ありがとうございます!とりあえず、28年29年分は1回目やり終えました。
    すると、出題ポイントが少し明確になった気がします。(と言っても、やはり様々な資料からの出題には怯えています><)

    法令に関して再度ご質問ですが、児童福祉六法という本は持っていたほうが良いでしょうか?特に児童福祉法はあらゆる条文から出題されるので 途方に暮れておりまして><

    • うぱみ より:

      入道雲さん、コメントありがとうございます(●^o^●)

      児童福祉法だけなら、ネットで最新のものがダウンロードできるので、プリンターがあるならわざわざ六法は買わなくてもいいかと思いますが、もし、解説付きのものがあれば、そちらを手に取って見るのもいいかもしれませんね。

      私は、ネットでダウンロードしたのですが、どの条文が重要なのか探すのも、解読も大変なので。

      何とか、わかりやすく紹介したいなぁ、と思っているのですが(・_・;)

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